床版からつながる縁

桐川 潔ピーエス・コンストラクション株式会社
技術本部 技術部 土木技術グループリーダー
桐川 潔

私は1999年に大阪大学大学院を修了し、ピー・エス(現:ピーエス・コンストラクション)に入社しました。
大学時代は恩師の松井繁之先生のもと、当時博士課程に在籍されていた近畿大学の東山浩士先生とともに外ケーブル補強されたコンクリート床版の疲労実験に取り組んでおり、その試験体である床版をピー・エス兵庫工場で製作したことが、弊社との縁の始まりでした。
漠然と橋梁関連の仕事に携わりたいと考えていた私は、この縁から入社を決意しました。
入社後は開発部署に配属となり、舗装、橋脚補強、電気防食、グラウト開発など特殊な技術開発に従事しました。
残念ながら実施工には至りませんでしたが、塑性粘度の高い特殊グラウトを開発し、PC構造物におけるグラウトの重要性を認識できたこと、2006年にナポリで開催されたfib国際会議で発表できたことは貴重な経験となりました。
この時期に培った研究開発の視点と幅広い技術分野への理解は、後の実務においても大きな財産となっています。
その後、実務への配属を希望し大阪支店設計部に異動となり、ここで再び床版との縁が深まります。
第二京阪道路の楠根地区や門真高架橋西地区において大量に発注されたプレキャストPC床版の設計および工場での製作を担当しました。
床版設計には鋼桁の検討も重要であり、鋼橋メーカーの方々との交流を通じて、コンクリートとメタルの精度管理の違いに材料特性の本質を感じました。
次に担当したのは床版取替工事です。
中国自動車道における床版取替工事の先駆けとなった青津橋床版補修工事で設計を担当し、既設構造物への対応、鋼桁補強、高機能防水層の採用、橋面高さ管理、高耐久化など、専門外の課題が多数ありました。
しかし、これまでの縁から多くの方々の助言をいただきながら無事竣工を迎えることができました。
それ以降、主に大規模更新工事を担当しましたが、特に印象深いのは片側通行規制下で床版取替を行った道谷第二橋の設計監理です。
4脚の自立式架設機械や、プレキャストPC床版を接合する特殊なガイドキーなど、新技術を多数採用した現場となりました。
施工中はほぼ連日見学者が訪れ、多くの方々との新たな縁が生まれました。
この10数年の大規模更新工事の経験は、私の技術者人生において大きな意味を持っています。
施工会社に所属している私は、理想である新設と、現実である補修との狭間で、いかにより良い成果を示せるかが技術者の真価だと考えており、設計技術と施工の実情を融合させながら、どちらにも偏ることなく頼られる技術者を目指しています。
現在は床版との縁から土木学会床版委員会にも参加し、さらに多様な交流が広がっています。大学時代の床版研究からここまで縁が広がったことに感謝し、この縁を次世代に託していきたいと考えています。
次回は、PC建設業協会関西支部で大変お世話になりました安部日鋼工業の三田健大様にお願いいたします。

愛知製鋼