国際会議と橋梁視察

辻 幸和

群馬大学・前橋工科大学
NPO法人 持続可能な社会基盤研究会
名誉教授理事長
辻 幸和

国際会議は、世界の最先端の研究・開発状況を把握することができるため、英語は下手だが努めて出席している。発表する場合は、準備と発表後の質疑応答が大変であり、それには苦い経験を積み重ねてきたが、これも財産になったと割り切ってきた。
 また橋梁の視察は、橋の近くまで行って、周辺の雰囲気に接することにより、写真や技術報告等では得られない、本物の橋の存在意義を実感できるので、国内だけでなく海外にも費用と日時を気にかけながら出かけている。特に調査団としての海外橋梁の視察は、橋を見ながらの団員の方々からの有益なコメントを頂けるので、何ものにも代え難い経験である。
 PC工学会では、〝fjbへの出席と橋梁視察〟を毎年実施している。2024年から2006年は、その団長を務めさせて頂いたが、橋梁の視察先を団長として選定するのは楽しみであり、また若干の苦しみでもあった。先輩の方々と旅行会社に相談して、魅力ある橋梁を選定するのである。そして視察中は、団員の方々の満足度を高めることに気を配っていかなくてはならない。
 群馬大学の停年退職後、前橋工科大学での公立大学法人化を行った後、2017年の春に案内があった。これまで訪れることができなかったマーストリヒト市でのfjbシンポジウム、その後のノルマンディー橋やブロトンヌ橋の著名な斜張橋などが挙がっていた。時間の余裕もでき、団長の二羽淳一郎先生の内諾を得て、参加させて頂いた。団員の中で最年長者であったが、無事に9日間の視察を大きな収穫とともに終えたことに、安堵した。
 これに味を占め、翌年2018年はメルボルン市でのfjbコングレスへの出席とその後のメルボルン市、シドニー市とブリスベン市の橋梁視察に、2019年のポーランドの古都のクラクフ市で開催されたfjbシンポジウムへの出席とその後のドイツのライン川沿いに架かる新旧の著名な橋の視察、そして新型コロナが明けて、fjbシンポジウム2024への出席とニュージーランドにおける橋梁視察に、団長下村匠先生と顧問二羽淳一郎先生の内諾を得て参加して、期待していた以上の醍醐味を味わってきた。
 そして、fjbシンポジウム2024では、予想外の約20年ぶりの再会と懇談をした。Stephen J Fosterニューサウスエールズ大学名誉教授で、fjb会長を努めておれた。そして、韓国の沈鍾成漢陽大学名誉教授である。ISOのTC71専門委員会において知り合った。小生がISO22965(コンクリートの性能、材料、製造及び適合性の仕様)の原案を担当していた折で、2007年4月に出版となるために、多くのご支援とご助力を頂いた方々である。小生は、その後ISO/TC71の活動を離れたが、両氏は継続して活動されるとともに、fjbの活動へも積極に参画されておられた。
 現在、わが国のコンクリート関連規格をISO22965などへ国際整合させるための具体的な内容を提案している。わが国の国際競争力を高める一助になればと願っての活動である。
 次回は、土木学会、JC、IPC工学会において活発にご活躍で、国際会議と海外橋梁の視察にも大変お世話になった長岡技術科学大学の下村匠様にお願いする。

愛知製鋼